【永久保存版】数学チャート式の選び方・効率的な使い方を専門家が徹底解説
「周りの友達が青チャートを使っているから、自分も買わなきゃ不安…」「先生に『もっと考えろ、すぐ答えを見るな』と言われるけど、1時間考えても解法が浮かばない…」 こんな風に悩んでいませんか?
定番のチャート式は、その網羅性の高さから多くの進学校(東海高校や淑徳高校など)で採用されていますが、使い方を間違えると「分厚すぎて挫折」したり、「ただの作業」になってしまう危険があります。この記事は、受験指導の専門家が、実際の指導経験に基づいて、チャート式を最大限に活用し、最短で数学力を上げるための具体的なノウハウを解説します。チャートの色選びから、力が伸びる復習のサイクルまで、あなたの悩みを解決するヒントがきっと見つかります。
目次
「白・黄・青・赤」チャートの色で混乱していませんか?偏差値別・志望校別の正しい選び方
チャート式には主に白、黄色、青、赤の4種類がありますが、インターネット上では「白チャートだけでほとんどの大学に行ける」といった意見や、「青チャートが最強だ」といった情報が混在しており、受験生が混乱しやすいポイントです。
まず、受験勉強の土台固めとして使う場合、黄色チャートまたは青チャートの二択を強くお勧めします。
- 白チャート:基本的な公式や解法は載っていますが、受験の定石の全てを抑えるにはやや足りません。主に定期テスト対策向きですが、共通テストの基本公式を確認し、別途演習を重ねれば5割から7割程度を狙う基礎固めとしては有効です。
- 黄色チャート:偏差値55から60(やりきれば65まで)を目指す、中堅の国公立理系学部や東大京大を除く旧帝大の文系の土台固めとして最適です。最難関大学以外であれば、ほとんど対応できるレベルと考えて良いでしょう。
- 青チャート:最も多くの進学校で使われており、偏差値65から70を超える土台としても適しています。ただし、レベルが高いため、偏差値50や55を切る生徒がいきなり全てをやろうとするのは危険です。数学的に重要でも入試では出にくい難問や、共通テストで使わない知識も含まれているためです。
- 赤チャート:土台固めで使う人は、おそらく数学に関して塾に通う必要がないレベルです。基礎的な演習が少なく、九九を習ったばかりなのにいきなり二桁の掛け算をするようなイメージで、定着を難しくしてしまう可能性があります。
まずはご自身の今の実力と志望校に合わせて、黄色か青を選択しましょう。黄色と青は内容が重複している部分も多いため、学校で配られた方を優先して使って問題ありません。
色を選んだら、次に大事なのは「どう進めるか」です。特に、その分厚さゆえに挫折しがちなチャート式を確実に身につけるための復習法を見ていきましょう。
「全部やろう」が一番危険!数学の土台を最速で固める「基本例題一択」の学習戦略
チャート式は網羅性が高い反面、問題数が非常に多い(基礎問題精講の約2倍の300題弱)ため、この分厚さが嫌で挫折してしまう生徒さんも多くいます。
チャートの問題は「基本例題」「重要例題」「演習例題」というようにレベル別になっています。数学が苦手な方や、これから数学を始めていくという方は、青チャートを例に取ると、まずは基本例題だけを回すことを強くお勧めします。
これは、土台を固める上で非常に効率的な戦略です。 例えば、進学校では、基本例題は定期テストの範囲、重要例題や演習例題は実力テストの範囲になっていることが多いです。苦手な分野で重要例題に時間を割き、「1時間で1問しか進まなかった」となると、コスパが悪いと感じて絶望してしまいます。 それよりも、まずは基本例題をどんどん進めて、全分野の基礎を固めた方が、一定の力がつき、成績が出やすくなります。土台を固めて、まず前段階まで力を伸ばすという意味で、基本例題をぐるっと回すのが効果的です。基本例題をしっかりやれば、共通テストで出てくる公式や定理は抑えられます。
例題の下についている練習問題(プラクティス)や、章末のエクササイズは、土台固めとしては必須ではありません。特にエクササイズは、複数の例題の知識を複雑に絡み合わせた入試問題の「定石に落とし込む練習」ですが、これらは高校3年時に学校で配られる演習用の問題集(スタンダード受験編やオリスタなど)で代替できます。まずは例題に集中し、全分野の基礎の基礎を固めましょう。
ただし、例題を1周しただけでは、残念ながらすぐに忘れてしまいます。次に、数学の定着率を劇的に上げる、専門家が推奨する復習サイクルを具体的にご紹介します。
定着率が劇的に上がる!「小・中・大サイクル復習法」と5分ルールの活用
ただ問題集を解き進めるだけでなく、数学の定着には「復習のサイクル」を意識することが不可欠です。ぜひ「丸・三角・バツチェック」と「小中大サイクル復習法」を実践しましょう。
- 問題へのチェックと日付付け: 解いた日付と、結果(丸:正解、三角:計算ミスなどの軽微なミス、バツ:不正解)を必ず書いておきましょう。人間の記憶は曖昧なので、曖昧な「なんとなくできた」を防ぐために記録が必須です。
- 小復習(短期): バツがついたものは、できれば2日以内にやり直します。これは、心理学で有名なエビングハウスの忘却曲線に基づいた対策です。日数が経ってしまうと、初めて解くのと変わらないほど時間がかかり、効率が悪くなってしまうため、早めに復習することが大切です。
- 中復習(中期): 週末や、問題を解いてから1〜2週間後に、一度でもバツがついたものをもう一度解き直します。ここでバツがついてしまうと、「短期記憶のまま長期記憶になっていない」ということになります。その場合は、再び小復習に戻って定着を試みます。
- 大復習(長期): 高校3年の夏休みなどの長期休暇を目安に、もう一度確認します。ここでは、自分が受ける大学でよく出る分野や、苦手な分野を優先的に復習すると効率的です。
このしぶとい復習サイクルは、苦しいですが効果絶大です。実際に、浪人当初は偏差値50に満たなかった卒業生が、このマークを5〜6回繰り返すほど粘り強く続けた結果、国公立の医学部に合格したという事例もあります。
また、問題を解く際、手が止まったら悩む時間は5分までと決めましょう。チャートの例題は定石解法であり、「知っているか知らないか」が重要です。5分考えて何も出てこないなら、「知らない」か「定着していない」ということなので、いたずらに時間を浪費するのは非効率です。
5分悩んだ後にすぐ回答を見るのは、学校の先生に怒られそう… と思っていませんか? 次は、「悩む」解答の見方について解説します。
「答えを丸写し」や「見るだけ勉強」は要注意!力が伸びないNG行動と改善策
数学の力が伸びない生徒さんがやってしまいがちなNG行動として、「作業的な見直し」と「見るだけ勉強」があります。
まず、「作業的な見直し」赤ペンで丸写ししてしまうことです。脳が働いておらず、ただの写経になってしまい、次に同じ問題を出されても同じところで詰まってしまうことが多いです。
また、「見るだけ勉強」も危険です。チャートは紙面の都合上、計算などが省略されている箇所もあるため、実際に手を動かして最後まで解き切ることが非常に重要です。連立方程式を解く作業も省略せず、最後まで計算することが定着に繋がります。
【改善策:指針の活用と付箋学習法】
- 回答ではなく「指針」を見る: 5分考えて手が止まったら、回答ではなく、必ず指針を見ましょう。指針には、その問題で抑えるべきポイントや手順、考え方がはっきり書いてあります。まず指針に沿って手を動かし、それでも止まったらようやく回答を見る、という流れにしましょう。
- 詰まったところだけ意識する: 丸写しをするのではなく、詰まった箇所(例えば一行)だけを色を変えて書くなどして意識します。その「障害」を乗り越えれば、あとは自力で解けるかもしれません。
- 付箋学習法: 復習の際に「いつもここで詰まる」という箇所があるなら、詰まる箇所から先を付箋で隠してしまいましょう。これは、ピアノの練習でいつも最初から弾いていると最初の部分ばかり上手くなり、詰まるところが克服できないのと同じです。付箋で隠すことで、詰まったポイントからの自力走行を強制でき、時間短縮と定着につながります。また、その付箋を貼った部分を写真に撮っておけば、電車の中などでもテストできます。
最後に、ただ解法を覚えるだけでは応用力が身につきません。数学が得意な受験生が実践している「理解付き暗記」の考え方を見ていきましょう。
まとめ
数学は、ただひたすらに解法を覚える「暗記」だと思われがちですが、実際は「理解付き暗記」こそが応用力を生みます。無限に解法を覚えるのは不可能だからです。
なぜその解法を使うのか(Why)を納得した上で覚えることで、初めて応用が効きます。例えば、確率の問題で「余事象を考える」というポイントを覚えるだけでは、別の倍数(6の倍数や10の倍数)の問題が出たときに対応できません。 「どうして余事象を考えるのだろう?」と疑問を持ち、ストレートに解く方法(正攻法)だと複雑すぎて大変だから余事象を使う、という「なぜ」を追求する姿勢が大切なのです。
もし、チャートの指針や回答を読んでも「なぜそうなるのか」が分からなければ、他の参考書で調べたり、学校や塾の先生に積極的に質問をしましょう。
今日からぜひ、この「理解付き暗記」を実践してください。 チャートの例題に取り組む際は、答えのどこに指針のポイントが使われているのか、指針と回答をよく見比べて、繋がりを意識的に確認する習慣をつけましょう。これが、単なる作業ではなく、応用力を鍛えるための第一歩です。
理解付き暗記は、まるで地図を広げるようなものです。ただ道順(解法)を暗記するのではなく、なぜその道順が最適なのか(指針)を理解することで、初めて未知の場所(応用問題)へもたどり着くことができるようになります。
自分で「何を・どの順番で・どれくらい」やるかを決めるのは、実は一番むずかしいところです。
ラムス予備校では、今の成績・志望校・科目バランスを見て、あなた専用の勉強の進め方を一緒に決めていきます。 カリキュラムを配るだけでなく、「進め方」を伴走するので、1人で挫折しにくくなります。
「勉強のやり方があっているか不安」「相談できる人がいない」という方は、まずは無料相談・無料体験で話してみてください。